なぜ明治神宮の森に立つと昔の人になった気分になるのか

この季節の代々木公園はほんとうに美しい。
早朝にジョギングで訪れるにはとてもいい場所だ。人が少なく、静かである。
烏たちがゴミ箱に群がって騒いでいるのが少々気になるが、新緑の木漏れ陽の中を走るのは気分がよろしい。

原宿側の門から出てみると、まだ7時前なのに明治神宮が開門されている。この時期は5時半には開けるきまりのようだ。

明治神宮はお気に入りの場所であるが、考えてみれば訪れるのは初詣や厄払いの拝礼の時ぐらいで、人が少ないときに入ったことは今までなかった。境内をジョギングするわけにはいかないが、休日ということもあり時間がある。そのまま参拝することにした。



神宮の鬱蒼とした森はまるで原生林のようだ。昔からの自然がそのまま残っているように見えて、実はそうではない。植木屋と植物学者が「100年たったらこうなるだろう」と計画して植栽され、造園された「計算づくの森」なのだという。遠くに森を従えた枝振りのいい紅葉が一本あるのも偶然ではなくて、人間が仕組んだものなのだ。計画した人間も作った職人たちも、完成した姿を見ることなく、この世からいなくなってしまう。そこが凄いとつくづく思う。

本殿では大きな太鼓を組み立てているところ。なにか大きな行事があるのだろうか。外国人の観光客が物珍しげに様子を見ている。

本殿を抜け参宮橋に向かって少し歩くと道が二股に分かれている。右に出ると宝物殿とあるので、今まで行ったことのないエリアへ向かう。この道はとても東京とは思えない。背の高い樹木に囲まれ、もちろん未舗装で電柱もない。
森を抜けると武道場がある。玉砂利の広場に弓を携えた袴姿の若者達が集まっている。弓道の競技会があるのか。芝生には太極拳のグループが活動中だ。

大正時代にできたという宝物殿を見たかったが、開場までまだ一時間ほどあるので断念。池にかかっている橋を渡って、代々木の大きな門から高速道路の近くへ出る。すると、まるで結界が切れたように一気に都市の騒音が聞こえてきた。

ご近所で思いがけない小旅行。また来よう。




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