なぜ八重の桜を見ながら明治維新はインチキだらけだったと思うのか

小学校で歴史を習ったときに、明治維新ぐらいびっくりする出来事はないと思った。

ちょんまげを結ったお侍さん達の話をずうっと読んでいたのに、明治維新がありまして、という前振りがあって、いきなり鉄道が走り出して煉瓦のビルができて、すっかり近代化してしまう。挙げ句の果てに軍艦を繰り出して日清・日露の戦争に勝ってイケイケだ。なんでちょんまげから軍艦まで一足飛びなんだ。おかしいじゃないか、と子供心に思っていた。

もうひとつは倒幕派は尊皇攘夷だったはずなのに、攘夷と言ってた人たちはいったいどこ行った?というのも子供の頃の大疑問だった。

僕はそもそも京都守護職会津中将様ご支配新撰組の地元多摩育ちだから、その会津藩がなんで朝敵扱いなんだか訳がわからない。と思っていたが、この本を読むとからくりがよくわかる。薩摩長州の狙いは革命のイベント化と見せしめ効果だったのだな。

チャールトン・ヘストン主演の「北京の55日」という映画があった。若き伊丹十三が演じていた柴五郎中佐はもちろん実在の人物で、会津の人。戊辰戦争で母親と妹は自刃して果て、幼い彼は父らと東北の果てに追いやられる。飢えと寒さの地獄のような生活から脱出して軍人となった。柴五郎の回顧録は「ある明治人の記録」の名で出版されている。


日本は国のあり方を変える必要に迫られていて、旧体制がもたもたしている間に革命勢力が結集し、策を弄して大義名分を得てしまい、古い勢力が信じていたものをことごとく破壊してしまう。藩という共同体を維持するために奮闘する藩士達の努力は廃藩置県で灰燼と化す。ある意味ペテンとインチキが跋扈する時代であったのだなあ。それは小学校では教えにくいにちがいない。

福島をはじめ東北は今に至るまで実直であろうとしてインチキに飲み込まれていく繰り返しのように見える。

妙な読書感想文になってしまった。
学校で読ませたいが、学校が嫌がる一冊。

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